危険な深夜勤事件。ナースステーション前を駆け抜ける不穏患者との終わりなき・・・


あるとき私は深夜勤務をしていました。その時の受け持ちは、ほとんど動けない患者さん8人と、手術後数日たった患者さんたち4人、何とか身の回りの事が出来る患者さん13人合わせて25人でした。

深夜勤務は眠くてとっても苦手でした。私は眠いのを我慢しながら、ナースステーション前の点滴室で翌日の点滴の確認をしていた時のことです。

マッハで「ガラガラー」っと点滴台を持ちながら、ナースステーション前を後にした人物がいました。真夜中に、寝られずに散歩をする方は良くいるのですが、真夜中にマッハで点滴台を持ち駆け抜ける患者さんはいません。

これはヤバい予感かしました。相方のナースに事情を話して、すぐに追いかけると、その患者さんはエレーベーター前でボタンを押しているところでした。「Sさんどこに行くのですか?」と問いかけると、「えーもう暗いからうちに帰りますよ~~」との返答。明らかにヤバイ不穏状態です。

不穏とは、手術の不安や手術後の環境の変化などから特にお年を召した方が病院に適応できずに、大変とぼけてしまうことです。Sさんの目は明らかに真剣です。

image2015.04.05

こういう時は冷静に今の現状をお伝えします。「Sさん、ここはどこだかわかりますか?」とまず聞いてみました。

Sさんは、返答なしです。患者さんに納得してもらえばお部屋に戻ってもらえますね~。しかしこの方は、次第に怒り出して「うるせーな!かんけーねーだろ」と目はギラギラ、点滴は引っ張るし、抜きそうになるし、どうにもならなくなりました。

そして最終的に先生を呼んで、今の状態を説明してもらいやっとベットに戻ってもらいました。ベットの足元には、センサーマットを敷いて準備完了。

しかし、Sさんは落ち着くことはなく、センサーマット鳴る → 私が行く → ベットに戻る。の堂々巡り。

おわりなき戦いが始まりました!!

・センサーマット鳴る → 私が行く → ベットに戻る

・センサーマット鳴る → 私が行く → ベットに戻る

・センサーマット鳴る → 私が行く → ベットに戻る

・以下、無限ループ・・・

そして、もう私の限界がきました。。。

私の負けでしたorz

先生に報告して落ち着く薬を静脈注射しました。おかげで、他の患者さんはその間、ほっとかれっぱなしです。

もちろん点滴交換など最低限の事は相方にお願いしました。

朝、顔のクマ倍増・・・朝出勤してきた他のナースたちからは、「昨日頑張ったんだねー」とほめてもらえるこんな日々が日常茶飯事な外科でした。

今日の部屋持ち:ポンちゃん

[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”01.jpg” name=”ナス夫”] 病院内では”不穏”って言葉で言われるんだって知った時、なんか軽いカルチャーショックを感じたんだよね(笑)。

ナス夫の感覚だと結構なネガティブワードだし、そもそも普通の生活じゃ使われないし。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”12.jpg” name=”ナス妻”] 看護の世界じゃ普通だよね。状態を表すだけの言葉だから[/speech_bubble]